内定者フォローを入社後の定着につなげる

辞退防止だけにとどめず、「納得して入社できる環境」を整えましょう

新卒採用では、内定を出した後の関わり方が、入社前の不安や入社後のミスマッチに影響します。マイナビ総合研究所が2026年7月3日に公表した「内定者フォローに関する調査」では、内定者への継続的な情報提供や交流機会が、入社に対する納得感を高める可能性が示されています。

内定者フォローは、内定辞退を防ぐためだけの施策ではありません。仕事内容、配属後の働き方、職場の雰囲気を具体的に理解してもらい、安心して入社日を迎えられるようにするための大切な準備です。


1.月1回以上の接点を持つ企業が約6割

同調査では、内々定から入社前までの期間に、企業から月1回以上のフォローを受けた人は59.3%でした。内訳は、「1週間に1回程度」16.7%、「2週間に1回程度」15.3%、「1カ月に1回程度」27.3%です。

実施内容では、「内定式」が60.4%で最も多く、「内定者との交流・懇親会」も50.2%となっています。一定の頻度で接点を持ち、内定者同士や企業との関係づくりを進めることが、一般的な取組となりつつあることがうかがえます。

ただし、連絡回数だけを増やすことが目的ではありません。内定者が知りたいことや不安に感じていることを把握し、必要な情報を適切な時期に届ける視点が重要です。


2. 「会社や仕事を具体的にイメージできる」施策が好印象

内定者から印象が良かった施策としては、「社内報・資料の共有」が83.0%で最も高く、「社内見学・工場見学」と「先輩社員との交流・懇親会」がいずれも80.1%でした。

これらに共通するのは、入社後の職場や仕事を具体的に想像しやすい点です。制度の説明だけでなく、現場で働く社員の声、1日の業務の流れ、部署の役割、入社後の育成スケジュールなどを伝えることで、内定者は自分が働く姿を描きやすくなります。

特に中小企業では、経営者や配属予定部署の社員と直接話す機会を設けやすいという強みがあります。限られた人数でも、会社の実情を率直かつ分かりやすく伝えることが、内定者の理解と納得につながります。


3. 複数の施策を組み合わせ、納得感を高める

調査では、内定者フォロー前に入社への納得度が低かった人のうち、フォロー後に納得度が高い状態へ変化した人は24.2%でした。また、フォロー前の納得度が中程度だった人でも、22.4%が高い状態へ変化しています。

さらに、フォロー施策の種類が多いほど、満足度・入社への納得度が高まる傾向も示されています。例えば、「定期的な連絡」「社内情報の共有」「先輩社員との面談」「職場見学」など、目的の異なる施策を組み合わせるとよいでしょう。

一方で、施策を増やしすぎると、学業、卒業研究、資格試験、私生活との両立に負担を感じることもあります。参加の目的、所要時間、任意参加であるかどうかを明確にし、内定者の状況に配慮した運用を心掛けましょう。


4.内定者フォローで確認したいポイント

確認項目

実務上のポイント

連絡頻度

月1回程度を一つの目安としつつ、連絡が一方通行にならないようにする

情報提供

社内報、社員紹介、仕事の流れ、入社までの予定などを分かりやすく伝える

交流機会

人事担当者だけでなく、先輩社員や配属予定部署との接点を設ける

個別対応

不安や質問を聞ける窓口を明確にし、必要に応じて個別面談を行う

参加の扱い

イベント、研修、課題等は目的・参加方法・費用負担を事前に明示する

労務上の整理

実際に業務を依頼する場合は、労働条件、賃金、労働時間等を明確にする


5.内定後も、誠実で安定した採用対応を

厚生労働省は、新規学卒者の採用内定取消しについて、学生本人と家族に大きな影響を与える重大な問題であるとして、事業主に対し、内定取消しを防止するため最大限の経営努力を行うことを求めています。採用内定の態様によっては、内定時点で労働契約が成立していると評価される場合もあります。

内定者フォローにおいても、企業側の都合だけを優先するのではなく、内定者との信頼関係を大切にすることが基本です。採用条件、入社日、配属の考え方、入社前に予定している行事などについて、変更がある場合には早めに説明し、誤解のない対応を行いましょう。


6.まとめ

内定者フォローは、内定者が企業理解を深め、入社への納得感を育てるための取組です。定期的な連絡に加え、社内情報の共有、職場見学、先輩社員との交流などを組み合わせ、会社や仕事を具体的にイメージできる機会を整えましょう。

大切なのは、施策の数だけではなく、一人ひとりが安心して質問でき、自分らしく働く姿を描ける内容になっているかを確認することです。採用から入社後の定着までを一続きのプロセスとして捉え、内定者との信頼関係を築いていきましょう。

(参考)

本稿は一般的な情報提供を目的としています。内定者研修における労働時間・賃金の取扱い、採用内定の取消し、労働条件の変更等は、具体的な事実関係により判断が異なります。個別の対応に際しては、社会保険労務士、弁護士、所轄ハローワーク等にご確認ください。

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