2026年春季労使交渉の結果と賃上げへの向き合い方

2026年の春季労使交渉(春闘)の結果が概ね出揃いました。物価上昇の継続と深刻な労働力不足を背景に、多くの企業が過去最高水準の回答を示しています。本稿では、最新の賃上げ動向と、企業が今後取るべき戦略的対応について解説いたします。

1. 2026年春季交渉:最新の妥結状況(経団連集計)

日本経済団体連合会(経団連)が発表した大手企業の第1回集計結果によると、賃上げ水準は極めて高いレベルにあります。

総平均アップ率:5.46%(妥結額:19,964円)

非製造業平均:5.85%(製造業平均:5.29%)

特筆すべきは、昨年の歴史的水準(5.44%)をさらに上回るペースで妥結が進んでいる点です。業種別では、情報通信業(8.28%建設業(7.63%など、専門性の高い人材の確保が急務となっている業種で突出した数字が出ています。


2. 「選ばれる企業」になるための賃上げ戦略

これほどまでの賃上げ圧力の中、人事総務担当者様が意識すべきは「単なるコスト増」ではなく「人材投資への転換」です。

  •  構造的なベースアップ(ベア)の検討

一時金(ボーナス)での調整ではなく、基本給を底上げする「ベースアップ」が主流となっています。これは、初任給の引き上げや若手層の離職防止に直結するため、採用競争力を維持する上で避けて通れない課題となっています。

  • 「トータル・リワード(総合的報酬)」の設計

賃上げ原資には限りがあります。そこで重要になるのが、給与以外の価値を組み合わせた報酬設計です。

柔軟な働き方の提供: リモートワークやフレックス制度の拡充

福利厚生の最適化: 住宅手当の再設計やリスキリング支援の導入

心理的報酬: 評価制度の透明化や、貢献に対する適切なフィードバック

  • 価格転嫁と生産性向上の両輪

賃上げ原資を確保するためには、適切な価格転嫁と、DX活用等による生産性向上が不可欠です。人事部門としても、単に給与を計算するだけでなく、経営層に対して「人的資本経営」の観点から提言を行う役割が期待されています。


3. まとめ

2026年の賃上げトレンドは、一過性の現象ではなく、日本の労働市場における構造的な変化を象徴しています。貴社におかれましても、この変化を好機と捉え、既存の賃金体系の見直しや、魅力ある組織づくりに向けた検討を進める時期に来ていると言えるでしょう。

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