50人未満企業でも義務化へ 「ストレスチェック制度」実務ポイント

従業員のメンタルヘルス対策は、中小企業においても避けて通れない重要テーマとなっています。
現在(2025年12月時点)、常時50人以上の労働者を雇用する事業場ではストレスチェックの実施が義務付けられていますが、2025年5月に改正労働安全衛生法案が可決され、政府方針として令和10年度を目途に「常時50人未満の事業場」にも実施義務を拡大する方向性が示されました。企業としては早期の体制整備が求められます。


本記事では、特に準備が必要となる

①産業医の選任ポイント
②衛生委員会(または会議)での審議テーマ
③こころの不調が生産性に与える影響

の3点を中心にわかりやすく解説します。

① 産業医選任の重要ポイント
― ストレスチェック義務化で「産業医の確保」が最大の準備ポイントに

50人未満企業にストレスチェック義務が拡大されると、高ストレス者への医師による面接指導職場環境改善に関する助言が必要となるため、嘱託産業医との契約が実質的に必須となります。

  •  早めに検討すべき「産業医契約の確認事項」

確認項目

解説

面接指導の対応可否・
料金

ストレスチェック後の重要業務。追加料金になるケースが多いため事前確認が必須。

職場巡視の頻度

原則「毎月1回」が基準。中小企業では隔月対応など柔軟な契約も検討可能。

オンライン対応

地域によって産業医確保が難しい場合、オンライン併用が有効。

メンタル不調者の
個別相談

実際は相談ニーズが最も多く、対応可否の確認が重要。

  • 代替的支援策も活用可能

地域産業保健総合支援センター(無料)、EAP(外部相談窓口)、医療機関の産業保健サービスなど、複数サービスを組み合わせて体制を構築する企業も増えています。


② 衛生委員会(または衛生推進者による会議)で扱うべきテーマ
― ストレスチェックは「審議が義務」。準備できている企業はまだ少数

ストレスチェックの実施にあたっては、 委員会での “事前審議” と “実施後の報告・改善検討” の2つが法定事項です。

  • 審議が必要な主な項目
  • ストレスチェックの実施方法(実施者、時期、様式)

  • 個人データの取り扱い(本人同意、開示範囲)

  • 高ストレス者の面接指導フロー

  • 集団分析の方法と職場環境改善事項

 ※これらは議事録に必ず記録する必要があります。

  • 年間で扱いやすい「委員会テーマ例」

中小企業ではテーマ探しが負担となるため、年間計画を立てることが有効です。

テーマ例

4月

年間衛生管理計画の確認、メンタルヘルス教育

5月

ハラスメント防止、相談体制整備

7月

ストレスチェック実施方法の審議

8月

実施前の最終確認(周知・対象者)

10月

集団分析結果に基づく職場環境改善

12月

年間の振り返り・翌年の改善計画


③ こころの不調が生産性に与える影響
― 中小企業では「1人の不調」=「組織全体の停滞」につながる

メンタル不調が発生すると、休職や離職だけでなく、プレゼンティズム(出勤しているが生産性が低下)により目に見えない損失が大きくなります。 

  • ● 生産性低下の具体的な影響
  • 作業効率の低下(60〜70%まで低下する例も)
  • ミス・クレームの増加
  • 業務属人化による負荷の集中
  • コミュニケーション不足による停滞
  • 離職者発生による採用・育成コストの増大

  • ● ストレスチェックで期待できる効果
  • 高ストレス者の早期把握
  • 面接指導による悪化予防
  • 集団分析による職場環境改善
  • 管理職のマネジメント力向上(教育とセットで実施する企業が増加)

ストレスチェックは「義務だから実施する」のではなく、 生産性を守るためのコスト削減・リスク回避の投資であるという理解が重要です。


まとめ:50人未満企業が今から取り組むべき3点

  • 産業医の確保と契約内容の確認(または外部委託の活用)
  • 衛生委員会(または会議)での審議体制整備と年間テーマ設定
  • メンタル不調による生産性低下リスクの可視化

今後、法整備が進むにつれ、短期間での準備が求められる可能性が高いため、 早めの体制構築が企業の負担軽減につながります。


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